目のちしき箱

ひらばリンク(eyeのプチ診療室)

こどもの立体視

 さて、今回は「こどもの立体視」についてお話します。
 みなさんは、モザイクをじっと見つめると絵やカタチが飛び出すように見える絵本を読んだことはありませんか?
 実はこのような絵本は、眼科で行う視機能検査の仕組みがもとになっています!その視機能検査は、写真のようなカードや本、メガネを使って、モノが立体的に見えているかどうかを検査する方法です。この検査では、両目で見たときに、頭のなかでそれぞれの目に入ってきた情報を正確に立体感があるものとして認識できているかどうかを検査します(立体視機能検査)。
 立体視は成長にあわせて発達します。生後3〜6ヶ月ほどでおおよその立体視機能が育ちはじめ、視力やピントを合わせる力(調節力)など様々な視機能を発達させながら、6歳頃に完成します。立体視機能を正確に完成させるには、他の視機能がきちんと発達していることが大切で、斜視や弱視が見られると、良好な視力や立体視は獲得できません。
 ここで試しに、少しの時間を片目で過ごしてみてください。だいたいの遠近感はつかめても、細かい作業は難しくないですか?立体視機能の大切さがよくわかると思います。そのほか、バスやトラックなどの大型免許を取得する場合も、良好な立体視機能が必要なんですよ。
 まずは、成長過程に応じた視力が発達しているかを観察していくことが大切です。両眼視機能の検査と視力検査は、早ければ2歳頃から受けることができます。3歳になれば3歳児検診がありますよね。3歳児検診を家庭で行う自治体もありますが、家庭ではどうしても正確な視力や立体視検査は行うことができません。健康で良好な視力、視機能の発達のためにも大切な時期なので、少しでも気になることがあれば、できるだけ早く眼科を受診してくださいね。
 当院では、視能訓練士が医師とともにしっかりサポートしますので、小さなお悩みもお気軽にご相談ください!

糖尿病性黄斑浮腫ってなに?

 さて、今回のテーマは「糖尿病性黄斑浮腫」です。糖尿病の治療中や疑いがある時などは眼科の受診をすすめられることがあり、糖尿病が眼の健康もおびやかすことはよく知られるようになりました。糖尿病が原因で血糖コントロールが悪くなり、網膜に栄養や酸素を運ぶ血管が出血したり詰まったりする「糖尿病性網膜症」が有名で、ひどくなると失明することもあります。
 今回のテーマ、「糖尿病性黄斑浮腫(以下、黄斑浮腫)」は、前出の糖尿病性網膜症の一種で、モノを見る中心部分の「黄斑」がはれる(浮腫)病気です。浮腫は、黄班部分に血液成分が漏れ出すことによって起こり、歪みや見づらさなど重度の視力異常があらわれます。
 治療には、特殊な注射による治療や、レーザーなどの外科的治療があります。注射による治療は、網膜内の血管から血液成分が漏れ出すのを抑えるものです。外科的手術は、浮腫や血液成分が漏れ出す部分に直接レーザーをあてて抑える手術です。どちらも浮腫を改善させ、視力回復をめざします。ただし、残念なことに視神経は一度痛んでしまうと元通りには戻らないため、早期発見・早期治療がとても大切です。治療にはお金や時間もかかりますし、腫れが引いても再発する可能性もあります。再発してしまうと、さらに視神経が傷んでしまいます。
 …と、ここまでお話しただけでとても怖い病気だとわかっていただけると思います。
 もし黄斑浮腫が表れてしまったら、どんな治療がベストなのか、じっくりと検査をし、症状を見極めて選択していきます。早期発見・早期治療が大切なのはもちろんですが、症状が表れてしまう前に根本の原因である糖尿病のコントロールをしっかりしていくことが何よりも大事です。気になることや心配なことがあれば、いつでも気軽に相談してくださいね!

 

IC( インフォームド・チョイス)

 さて、今回はインフォームド・チョイスのお話です。「チョイス?コンセントではないの?」と思われる方も多いと思います。インフォームド・コンセントという言葉はすでに多くの方がご存じで、『正しい情報を得た(伝えられた)上での合意』という意味があります。治療やお薬のことを、リスクや副作用も含めて患者さんが医師から話を聞き、自由な意思に基づいて治療方針に合意するということです。
 最近の医療の現場では、この「インフォームド・コンセント」とあわせて、「インフォームド・チョイス」という言葉が生まれました。医療技術が進歩するにつれ、新しい治療や、新しいお薬が増えてきました。眼科の現場でも、昔と比べると本当に様々な選択ができるようになりました。病気ひとつを例にしても、「手術はする?しない?」「どんな手術にする?」「いつ、どこでやる?」…など、患者さんの症状やライフスタイルに合わせた“オーダーメイド”の治療方法が選べるようになってきたと言えるでしょう。そのような意味での、“チョイス”なのです。
 大切なのは、「選択肢が多くありますよ」ということではなく、選択肢が多いのは良いことですが、正しい情報や知識をしっかりと理解した上で選択する、ということです。当院では、患者さんに正しく十分に理解していただくため、自分自身の身内のように親身に思い対応するよう心がけています。時には、ご趣味のお話や世間話も交えながら、患者さん一人ひとりにとって一番良い選択肢は何なのか、徹底して選ぶようにしています。安心しておまかせください。一緒に“チョイス”していきましょう!
 予約診療も行っていますので、どうぞお気軽にご相談くださいね。

巨大乳頭性結膜炎

 さて、今回は「巨大乳頭性結膜炎」のお話です。まぶたの裏に、筋子の様なブツブツ(!)ができる病気です(想像してしまった方ごめんなさい…)。アレルギーがある方や、コンタクトレンズを使用している人がかかりやすいと言われています。
 例えばコンタクトを使用しているとき、コンタクトがよくずれるなぁと感じることはないですか?レンズをつけているときには違和感がなく、外すと何となくゴロゴロしたり痛みがでたり…という時は要注意!でき始めのまぶたのブツブツにレンズがこすれ、ずれているかもしれません。レンズ装着時にはレンズが角膜を覆っているため、違和感も感じにくいのです。
 この病気の原因ははっきりとはわかっていませんが、ウイルス性のものではありません。レンズについたほこりやゴミが刺激となってアレルギー反応を起こし、ブツブツができるのではと考えられています。
 違和感がさほどなくても、角膜はみなさんが思うよりも敏感なものです。違和感を放っておいてレンズを使い続けると、だんだんとひどくなってしまうこともあります。そうなると厄介なことに、数か月〜半年と治るのにも時間がかかるため、早めの治療がとても大切です。コンタクトは即中止し、アレルギーが考えられる場合は抗アレルギー剤を点眼します。
 気になる症状がでたら、すぐに受診してくださいね。
 コンタクトの方は、レンズを清潔に扱うこと、長時間の使用はなるべく避ける、など基本的な取り扱い方法をこの機会にぜひ見直してみてください。ワンデータイプや乾燥に強いタイプにしてみるなど、レンズの見直しの相談も大歓迎です!
 大切な目の健康を守りましょう!

子どもの近視抑制

 さて、今回は子どもの近視を抑制する方法についてお話したいと思います。
 今やどの家庭にもスマートフォンや携帯ゲーム機などがあるのではないでしょうか。小さいころから手元を凝視することが増え、遠くがぼやけて見える近視の人口はますます増えています。
 近視は、進行してしまうと残念ながら元には戻りません。見えにくさに対してメガネやコンタクトレンズを処方しているだけでした。他にも眼科では、目の緊張を和らげたりする目薬を処方しますが、近視の抑制に十分な効果があるとは言えません。そのような中、ある目薬が注目を集めています。「低濃度アトロピン」と呼ばれるもので、近視の抑制に明らかな効果が認められた目薬です。
 アトロピンとは、眼科で使われる検査用の目薬です。ピントを合わせる力(調節力)を麻痺させる作用があり、弱視や斜視の検査に使われます。実は近視の進行を抑える効果があることも知られていましたが、瞳を開く(散瞳)効果もあり、まぶしさや見えにくさがあらわれるため、近視の進行予防としては処方することができませんでした。ところが、ここ数年の研究で、アトロピンの濃度を薄めることで、調節力麻痺や散瞳効果を抑えながら近視進行予防の効果を残すことができました。これが「低濃度アトロピン」と呼ばれるもので、0.01%に薄めています。
 近い将来、この低濃度アトロピンでの近視抑制治療が一般的になるのでは、とも考えられており、国内の大学病院でも臨床治療を開始しています。海外では既に使われていて、現在までに副作用の報告などもないため、当院でも始めることにしました。眼病予防もかねて、しっかりと管理しながら進めていきますのでご安心くださいね。